ホームレスの人にはハゲはいない?

私の職場は、昼間は、1階の靴屋さんが、入り囗がわからないほど靴をたくさん並べていますが、夜になって靴が片づけられると、今度は軒先に路上生活者がやってきて寝床にします。私か夜に仕事で職場に戻ったときなどは、「夜分にすみません。用事があるので、ちょっと通らせていただけますか」と、路上生活者に仁義を切って入ります。

ある夜のことです。研究室に戻ると、路上生活者たちがなにやら祝杯を上げていました。「楽しそうですね。いいことでもありましたか」と尋ねると、「お兄ちゃん、いいことを聞いてくれた。オレたち、明日の仕事にありつけたんだ。一緒に一杯やらないか?」と、嬉しそうにいいました。本当は急いでいたのですが、私は彼らの飲みかけのビールを少しもらい、「そりゃあ、よかったね」と答えたのでした。、

そんなこともあり、彼らと話す機会が増え、なかには、私にとってはとても興味深い話がありました。彼らは、落ちたものを拾って食べることがよくあるといいます。しかし、下痢や腹痛に苦しむことはそれほど多くなく、花粉症やアトピーなどのアレルギーを持っている人もほとんどいないというのです。

しかも、ハゲている人がいません。多少ボサボサではありますが、髪がフサフサと頭皮を覆っている人がほとんどです。

ホームレスの人たちは、1日3食、おなか一杯になるまでの食事のすることは少ないと思われます。栄養状態も衛生状態も、よいとはいえないはずです。大都会の中とはいえ、風雨をしのぐだけの寝場所で休息する彼らの生活は、まるで1万年前の暮らしのようです。

人体を構成している細胞というものは、どうやら1万年前から変わっていないらしいのです。そのことからもわかるように、細胞を一番元気にする方法は、ジャングルの中を裸同然の姿で暮らしていた1万年前のような暮らしをすることなのです。逆に、1万年前には存在しなかったようなものを体に入れたり浴びたりしてしまうと、体内では活性酸素が大量に発生してしまい、当然毛根にダメージを与えることになってしまうのです。

こんな有名な研究があります。米国ウィスコンシン大学では、アカゲザル(平均寿命26年)を使った実験で、カロリー制限で若さを保てることを明らかにしました。通常の量のエサを与えた続けたサルは、20歳以上になると毛がだんだん薄くなり、皮膚もシワが目立つようになってきました。一方、30%のカロリー制限を一日もかかさず行ってきたサルは、毛がフサフサでツヤがあり、皮膚も張りがあって若々しさを保っていました。

人間とサルでは、長寿をまっとうする方法も若々しさを保つ方法も違ってきます。ですから、人がカロリー制限のみで長寿や若返りを図ることは難しいと、私は考えています。

それを踏まえたうえで、この研究結果と路上生活者の暮らしを照らし合わせて考えてみると、「満腹になるまで食べる」「食べたいものを食べたいときに口にできる」という飽食の生活は、毛髪力の活性化を妨げているのではないか、と確信しています。

毛髪力をよみがえらせるには、「腹8分目」の食事法が大事な条件の一つになります。